内嶋 亮 JNCC 第4戦 長野県KIJIMA大会:試行錯誤と次へのステップ

大会名:JNCC第4戦KIJIMA(長野) 5月24日開催
成績:総合16位 AA2 6位
公式LIVEリザルト
リザルト
BIKE:2025 KTM250XC-F SIXDAYS(4ストローク) KTMジャパンライダーサポート車両
サスペンション:Technixモディファイ
タイヤ
F :IRC M5B EVO 90/100-21 (ムース)
R :IRC GX20 SOFT (タブリス+Tacsムース
セットアップ&メンテナンスNAGmotors
ウェアーLEATT(ヘルメット、ゴーグル、ブーツ、グローブ、プロテクター)

5月は3週連続の全日本級レースへのチャレンジの締めくくり。
全日本エンデューロ選手権(JEC)の熊本・御所大会
全日本ハードエンデューロ選手権の兵庫・宍粟大会
そして今回の全国クロスカントリー選手権(JNCC)長野・KIJIMA(木島平)の3連戦。

今期はiRC TIREの出展プロモーション業務を各地で行っていることもあり、レースへの参戦機会が増えています。
3週間連続のハードなレースによる身体のダメージは少なからずありましたが、「練習では得られないレース特有の高いモチベーションで走れている」という確かな手応えを持って、今シーズン初のゲレンデラウンドへ臨みました。

好条件が揃ったハイスピードゲレンデへの期待

事前の天気予報は目まぐるしく変わりましたが、マディからドライまであらゆるコンディションを想定し、タイヤやムースの準備を万全にして会場入りしました。直前の降雨にもかかわらず、ゲレンデ路面は埃が立つほど。

マウンテンバイクライダーをバックボーンに持つ私にとって、ゲレンデのコース幅が広くライン選択肢が多い区間や、逆にラインが絞られるウッズなど、まさに本領を発揮できるシチュエーションです。昨年は怪我で欠場したため、全長8.5kmというダイナミックなKIJIMAのコースを走るのは今回が初めて。下見の段階から得意なコースレイアウトだと感じ、ワクワク感が一層高まっていました。

今回、機材面で特に楽しみにしていたのがTechnix(テクニクス)仕上げたサスペンションです。昨年のこの会場で試乗したTechnixの試乗車(ハスクTE250)の走破性に感動し、昨年後半に試乗車からそのまま自身のマシンにインストール。
そこから細かな仕様変更やコーティングなど熟成を重ねてきました。ギャップの激しいハイスピードゲレンデでその真価を試す格好の舞台です。

また、リヤタイヤは今期はJEC挑戦を見据えたテストを兼ねて、ムースばかり使用してきましたが、今回はセッティングの自由度が高い「Tubliss(タブリス)+ムース」とiRC GX20 SOFTの組み合わせを採用。コースコンディションに応じてレース中にも空気圧を微調整できる、実戦的な仕様で挑みました。

大盛況の「KTM presents 下見ツアー」

金曜日に入念な下見を行い、土曜日には恒例となった「KTM presents 下見ツアー」を開催しました。ファンクラス向けのこのツアーには途中合流も含めて約12名のライダーにご参加いただき、非常に有意義な時間となりました。

  • ゲレンデ区間のギャップ発生を予測したライン取りの考え方
  • 上りウッズの木の根に対するアクセル・クラッチワーク
  • 複数あるラインの中で「入るべきではない」危険な箇所のチェック

これらについてアドバイスを交えながら歩を進めました。レース後に「好成績を収められました!」という声をいただくことも多く、私自身とても大切にしている活動です。年内のレースでも継続していきますので、ぜひ皆さまお気軽にご参加ください!
KTMオーナー様でなくても参加できます。

レースデイ:好スタートから一転、ヒルクライムの失敗

レース当日の朝、予想以上の雨量により路面はマディ一歩手前まで湿りましたが、午後からのCOMPクラスが始まる頃には適度にグリップするベストコンディションへと変化していました。

今期は欠場があったためスターティンググリッドは1列目のギリギリ端。一番インの1コーナーへの進入が厳しい位置でしたが、フラッグが振られると同時に一発で始動。絶妙なエンジンスタートを決め、1コーナーでのアクシデントを避けて3位で最初の上り区間へと入っていきました。

短い1周目を5位で通過し、2周目はトップ集団の中で激しい順位争いを展開し総合8位をキープ。非常に面白い展開でした。しかし、3周目以降、最も難しいヒルクライムセクションで失敗。

2速で一気に登り切りたい場面で、どうしてもエンジンが息継ぎをするように失速。3周連続で失敗し、遠回りとなるエスケープルートへの回避を余儀なくされ、ポジションを大きく落としてしまいました。

【原因の分析】 本来であれば半クラッチを使ってエンジン回転数をキープすべきところですが、私のマシンにはオートクラッチを組んでいるため半クラッチがうまく機能しませんでした。さらに、左手リヤブレーキを装着していますが、反射的にクラッチと誤認して握り込んでいた可能性が高く、これが失速とエンジン回転低下の引き金になっていたと考えられます。

レース中は原因を特定しきれず、後半は2箇所のヒルクライムを1速で走ることでエンジン回転を落とさない対策を取りました。しかしこれでは回転が上がりすぎ、リヤタイヤが凹凸に弾かれて暴れるため、非常にストレスフルな走りを強いられることとなりました。

絶妙なパッケージと痛恨のアクシデント

一方で、ゲレンデのハイスピードな上り下りでは、パワフルなエンジン、路面追従性の高いTechnixサスペンション、そしてiRC GX-20 ソフト(Tubliss+ムース)という3つの要素が見事にリンクし、驚くほど気持ちよく攻めることができました。周回ごとに石や木の根が顔を出し難易度が上がるタフなコースでしたが、マシンのポテンシャルの高さには手応えを感じていました。

5周目まで苦戦が続いた後、6周目のピットインで給油とゴーグル交換を行い、さらにリヤの空気圧を少し下げてヒルクライム対策を講じました。これが功を奏してヒルクライムに成功、一気にペースが上がります。

しかし8周目、レース中何度もバトルを繰り広げていた保坂選手を再び捉えた瞬間、滑りやすい木の根に足元をすくわれバランスを崩し、立ち木に左肩を激しくぶつけて転倒。この時の衝撃で片側のコンタクトレンズが外れてしまいました。

視界が遮られ路面状況が判別できなくなったためスローダウンせざるを得ず、左肩の痛みも相まって、一度パドックへ戻る決断をしました。

レース復帰と見えてきた課題

パドックでコンタクトレンズを入れ直し、「走れないほどの怪我ではない」と判断してレースへ復帰。このアクシデントで約5分間のタイムロスを喫し、総合20位あたりまで順位を下げてしまいました。

しかし、今回は「最後までしっかりペースを上げ続ける」という強い意識を保ちレースに臨み、最終周までプッシュ。最終周のヒルクライムで再びミスがありタイムを落としましたが、最後までやり切る姿勢においては合格点を出せる内容でした。最終的にポジションを総合16位まで戻してチェッカーを受けました。

中盤の転倒ロスは非常に大きな反省材料です。また、ゲレンデ区間の走りが好調だった反面、上りの狭く滑りやすいウッズでは、前半の1時間は完全にコントロールを乱していました。2速で強引に回転を上げて弾かれて失速するという負の連鎖でしたが、後半に3速の低い回転数でタイヤを綺麗に転がすイメージに変えた途端、見違えるほどスムーズになりました。

ピットでの空気圧調整後の変化も含め、苦手とするシチュエーションに対する「予測力」と「自分好みのセッティングを瞬時に導き出す能力」が、まだまだ不足していると痛感させられた一戦でした。

プロライダーとしての役割、そして次戦への挑戦

前回の広島大会の後、成績不振につきメーカーからのサポートを受けながらレースを続ける意義について自問自答した瞬間もありました。しかし、多くの方々から私への期待や存在意義を直接言葉にして伝えていただいたことで、現在のモチベーションは非常に高く保たれています。

今回のリザルトは確かに悔しいものですが、決して悲観はしていません。まずはもう一度、総合シングル(1桁)順位に戻すという現実的な目標を設定し、焦らずに取り組んでいきます。

年齢や肉体の変化、若手選手の台頭など、抗えない変化は当然あります。だからこそ、単にリザルトを追うだけでなく、「自分自身がどのようなアプローチで課題を乗り越え、どう成長できたか」にフォーカスを当てていきたいと考えています。

そして私の大切な役割の一つに、スポンサー・メーカーの皆さまとともに、一般ライダーの皆さんの参考になるライン取り、ライディング、車両やパーツのセッティング情報を現場やSNS、メディアを通じて発信していくことがあります。
また、まさにこのレポートがそうですが、私自身の試行錯誤や挑戦のレポートが、「内嶋のチャレンジを見て元気がもらえた」 「とても参考になった、自分もやってみたい」

という皆さまの活力に繋がることが、ブランドプロモーションを超えた私の理想のライダー像です。

次戦ターゲットレースのお知らせ

次回のJNCCは全日本エンデューロ選手権(JEC)第2戦と日程が重複するため、JECへの参戦を優先します。

次回出場は6月21日、大阪・プラザ阪下で開催されるJEC第2戦です。 今回使用した250XC-Fとは異なるKTM 250 EXC-Fを投入します。
この車両はJEC開幕戦を含めてまだ4日しか乗っていない車両ですが、JEC開幕戦から得た感触を元にまもなくTechnixによるリバルビング+コーティングを施した前後サスペンションが仕上がります。
リヤサスペンションはEXC特有のリンクレスによる後方からの突き上げ感を改善し、開幕時点でも非常に乗りやすい仕様となっているため、さらにコーティングでの無駄のない動きとスムースさ、そして理バルビングによる奥の踏ん張りの強化がされる予定で、非常に楽しみです。
さらにアクラポヴィッチのフルエキゾーストシステムもインストールされ、戦闘力を格段に高めた仕様へと生まれ変わります。

私自身の次回のJNCC参戦は、7月末の「すずらん大会」を予定しています。すずらんはシリーズの中でもハードエンデューロに近く平均速度が遅いコース設定のため、この250 EXC-Fの特性が非常にマッチすると考え、本来JEC用車両でありますがEXC-Fを投入する予定です。
これからの2ヶ月間、このニューマシンを徹底的に乗り込み、ブラッシュアップを重ねてシリーズ後半戦への弾みをつけていきます。

スポンサー様、サポート企業様、そしていつも熱い応援をくださるファンの皆さまのおかげで、本当に楽しく、価値のあるレース活動ができております。
引き続き、内嶋亮の挑戦にご注目いただくとともに、温かい応援をよろしくお願いいたします!

株式会社ダイナコ 代表 / ライダー 内嶋 亮


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