内嶋 亮 JEC2026第2戦阪下 参戦レポート「DAY2で逆転優勝」

大会名:JEC第2戦 大阪プラザ阪下 6月20〜21日開催
成績:国際B級 DAY1 2位 DAY2 優勝 総合優勝
公式LIVEリザルト
リザルト
JEC公式レポートDAY1 DAY2
BIKE:2025 KTM250EXC-F SIXDAYS(4ストローク)
サスペンション:Technixモディファイ
タイヤ
F :IRC M5B EVO 90/100-21 (ムース)
R :IRC GX20 GEKKOTAムース)
セットアップ&メンテナンスNAGmotors
ウェアーLEATT(ヘルメット、ゴーグル、ブーツ、グローブ、プロテクター)

JEC(全日本エンデューロ選手権)デビューとなった開幕戦では、両日ともに優勝を飾り総合優勝という最高のスタートを切ることができました。しかし同時に、荒れていくコースへの対応や転倒によるマシン・身体へのダメージなど、多くの課題が残る1戦でもありました。

続く第2戦の舞台は、大阪府のプラザ阪下。開幕から今大会までの間、ほぼ毎週のようにiRCタイヤの出展業務や他レース(全日本ハードエンデューロ、JNCC)への参戦が続く超過密スケジュールでしたが、限られた時間の中で最大限の乗車時間を確保し、マシンビルドと身体の準備を進めてきました。

【マシン&サスペンション】テクニクスと共に磨き上げた「リンクレスEXC」

開幕に続き投入したKTMの250EXC-Fは、リアサスペンションが「リンクレス」という非常に珍しい構造を持っています。ハードエンデューロやオンタイム競技において絶大な支持を集める車両であり、特にヒルクライムにおける後輪のトラクション性能は、乗れば乗るほどその優位性を実感できる、このバイクの大きな魅力の一つです。

一方で、リンクレス特有の「コーナー進入時にリアが突き上げられ、重心が前に乗ってしまう」というネガティブな特性を指摘する声もあり、私自身も過去にそれを感じていました。

  • サスペンションの仕様変更: 開幕戦では前後20mmのローダウン仕様で挑み、リヤの突き上げ感こそ軽減されていたものの、もう少しストローク感が欲しいと感じたため、今大会に向けてフロント10mm、リヤ15mmのローダウンへと変更し、踏ん張りも強めにリバルビング。信頼する「テクニクス」と共に、コーティングの施工や細かなアジャスト調整を行い、非常に満足度の高いサスペンションを作り上げました。

  • ネガティブの解消と抜群の追従性: 純正からサスペンションユニット自体の全長を短くしたことで、サスが伸び切った際のリアフェンダー位置が純正よりも低く設定されます。これにより、突き上げによる前重心化は大幅に軽減されました。ハイスピード領域の連続ギャップでも高い路面追従性を発揮し、これまでにないほど安心してアクセルを開けられる仕様へと進化しています。身長165cmと小柄な自分にとっても、非常に乗りやすく、走るのが楽しい車両に仕上がりました。

  • 軽量化: さらに排気系にはアクラポビッチのチタンマフラーをインストール。車重で2kg以上の軽量化に成功し、4ストローク車両ながら非常に軽快な取り回しを実現。エンデューロ特有の極低回転からの優しいパワーフィーリングが、タイトな180度ターンの繰り返しや計測区間で大きな安心感をもたらしてくれました。

【タイヤ選択】事前テストのデータを活かした確信のチョイス

会場となるプラザ阪下はJNCC等での走行経験もあり、今年4月には私自身が主催するタイムアタックイベントを開催したばかりです。

プラザ阪下は雨が降ってもライン上はすぐに乾いて硬い路面になり、そこに深いレールやギャップができるのが特徴です。今大会も雨予報が出ていましたが、コース幅が狭いJECではさらにラインが1本化され、早い段階で硬い路面が顔を出すと想定。JNCCでも抜群の信頼性を感じていた「iRC GX20 GEKKOTA」にメッツラーミディアムムースの組み合わせを迷わず決断しました。

大会前の木曜日に現地入りし、スーパードライコンディションのモトクロスコースをフリー走行した段階でも、自分の走りに非常にマッチしていることを確認。確信を持ってレースに挑むことができました。

【レースDAY 1】歯車が噛み合わずもがき苦しんだ、悔しいクラス2位

金曜日午前中にiRCタイヤのプロモーションブース(ノベルティが当たる抽選会など)の設営を終え、午後からはIA勝山選手たちと共にコースを下見。雨の状況を想定しながら、エンデューロテスト、クロステストの2つのコースをじっくりとチェックしました。

朝一のトラブルとガス欠の恐怖

迎えた土曜日のDAY1。夜間の雨によりコース状況が変わったため、1周目は計測なしの下見ラップとなりました。1周30分のコースを8周(タイム計測は7周・計14回のタイムアタック)する、極めてタフなレースの幕開けです。開幕戦の優勝により、今回は国際B級の1組目のスタート。

1本目のクロステストでいきなりクラストップ(1番時計)を叩き出し、幸先の良いスタートを切ったかに見えましたが、直後のエンデューロテストのスタート前、なんと燃料の警告灯が点灯。「給油なしでもいけるだろう」という甘い見通しが仇となり、ガス欠の恐怖からエンジン回転数をまったく上げられず、移動路のようなペースで走ることを強いられてしまいました。

苦手な「硬質路面+レール」でのジレンマ

2周目を終えて給油し、気持ちをリセットしたものの、ここからコースの悪化とともにリズムが崩れていきます。私は元々、硬い路面にできる深いレールが大の苦手です。広大なコース幅を活かして別ラインを選べるクロスカントリーとは違い、コース幅が狭く「全員が作った1本のレールに綺麗にハメて走る」ことが求められるJEC特有のシチュエーションに、強いストレスとジレンマを感じていました。
※厳密にはその範囲内でも細かなライン調整はあります。

「スローイン・ファーストアウト」「寝かし込むタイミング」「スムーズなクラッチワーク」……頭の中で呪文のように唱えても、明確なイメージがなく身体が思うように動かない。特にエンデューロテストではなかなか一番時計を揃えることができず、焦りからパッシングに手こずり転倒を喫してしまいました。ロックセクションでの突然のラインチェンジでは土に足元をすくわれて転倒し、大きくタイムロス。まさに何をやっても噛み合わない1日となりました。

最終の8周目には、順位への執着を捨てて自分の走りに集中したことで両テストともに自己ベストを更新したものの、トップとは7秒差のクラス2位でフィニッシュ。目標に掲げていた「シーズン全勝」の夢は、ここで途絶えてしまいました。

ライバルたちからの金言

レース後、再び雨が降りしきる中でコースを歩き、勝山選手からライン取りのアドバイスを受けました。さらに、同じくコースを見ていたIAの太田選手に自身のライディングの悩みを相談したところ、非常に的確なアドバイスをもらうことができました。翌日はこの情報を元に「とにかく自分の走りをしよう」と心に決め、頭の中で何度もイメージトレーニングを繰り返して早めの就寝に就きました。

【レースDAY 2】逆転の総合優勝!

徹底的なイメージの構築

日曜日(DAY2)は朝7時半スタートのため、4時半に起床。前日は熱中症寸前まで追い込まれ身体はボロボロのはずでしたが、驚くほど目覚めが良く、体調は万全でした。5時には会場入りし、前日苦戦したエンデューロテストをスタートからゴールまで徹底的に下見。「ここで何を意識し、どう動くか」を、実際のコースを前に強いイメージとして脳裏に焼き付けました。

1周目の下見ラップでは、徒歩下見で見たラインへ実際のレーススピードで飛び込んでみた結果、派手に転倒。ウェアやヘルメットまでドロドロになりましたが、これは「どこまで攻めて良いか」の貴重な指標となりました。すぐに着替えを済ませ、フレッシュな状態で本番のタイムアタックへと向かいます。

プレッシャーを楽しみに変える

最初のクロステストは、ライバルである岩嵜選手に先行を許し2位スタート。しかし、続くエンデューロテストで岩嵜選手がミスをしたようで、ここだけで25秒という大きなアドバンテージを獲得。

これを2周目スタート直前に知り「ここから自分がミスなく走れば逃げ切れる」と予想しました。

本来なら追われる立場としてプレッシャーがかかる場面ですが、不思議と冷静になれました。かつてマウンテンバイク競技で、タイムアタックに集中していた時の感覚が少し戻ってきたのかもしれません。

そしてこのシチュエーションを非常にポジティブに捉え、無茶をするのではなく、イメージした走りをさらにブラッシュアップしていく「トライ&エラー」を心から楽しむことができました。自分の特性を深く理解しているからこそ、完全に自分のペースに入っていることが分かってきました。焦らず、欲張りすぎず、ほどよく調子に乗りながら、1本ごとに自分を高めていった結果、後半はすべてのテストで1番時計を連発しました。

見事DAY2優勝、そして2日間のタイム合算による総合優勝を達成しました!

【今大会の総括と今後に向けて】

開幕戦はどこか余裕のある中での勝利でしたが、今大会は昨年の阪下覇者である岩嵜選手という強力なライバルの存在により、本当にもがき、苦しみ、考えさせられたレースでした。

しかし、この苦しい経験こそが私を成長させてくれました。手強いライバルがいたからこそ、初日の失敗から猛省し、周囲のアドバイスを吸収し、転倒や大きなミスを無くし、2日目に自分の「エンデューロ力」を一気に引き上げることができたのだと確信しています。また、「今日は勝ってね!」と声をかけてくださった皆さんの期待も、元プロアスリートである私にとっては最高のエネルギーとなりました。

初日テストで追いついてしまった選手には、2日目はスタートで前に行かせてもらうなどの配慮も大変にありがたく、ほとんどのテストをクリアな状況で走ることができたことにも感謝です。

JEC公式レポートDAY1 DAY2でも内嶋のレースについては記述されていますので、ぜひチェックしてください!

iRCタイヤの伝道師として

最高峰クラスのライダーたちとの差はまだまだありますが、実践と反省、そして日々のトレーニングを積み重ねて成長スピードを上げていきます。

また、私の大切な役割である「iRCタイヤのプロモーション」という観点からも、非常に実りあるウィークとなりました。今大会では、多くの方から「どのタイヤを選べばいいか」「セッティングはどうしているか」といったリアルなご相談や、ライディングに関するアドバイスを求めるお声がけをたくさんいただきました。同じレースに出て、同じコースを走り、リアルな経験値を積み重ねているからこそ、本質的なアドバイスができる。JECの一員として少しずつ仲間入りができている実感が持てたことは、何よりの喜びです。

次戦の北海道大会以降も、レースでの成績と同様に、この大切な役割を継続していきます。

★参加者の皆さんへ

iRCブースでは、皆さんのレースに少しでも役立つ有益な情報を用意しています。僕のレース展開が気になる方も、タイヤ選びに迷っている方も、ぜひお気軽にブースへ遊びにきてくださいね!



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