JNCC2024 第6戦 マイア大会レースレポート

大会名:JNCC2024 第6戦 マイアスキーリゾート大会(長野) 7月28日開催
成績:COMP-AA1 3位  総合:3位
公式LIVEリザルト
公式リザルト
BIKE:2024 KTM250XC(2ストローク) basistauto貸与
サスペンション:WP PROサスペンション(Jon it.モディファイ)
タイヤ
F :iRC VX40 90/90-21 ムース(X-GRIP XG-1538)
R :IRC GX20 140/80-18 ムース(シンコー 穴あけ加工)
セットアップ&メンテナンス:Jon it.
ウェアーLEATT(ゴーグル、ブーツ、グローブ、プロテクター)
グリップ&ハンドガード:CIRCUIT

ようやく証明できたKTM XCシリーズの実力
250XC-Fを昨シーズン中盤から、そして2ストの250XCを今シーズンから走らせている。
ベイシストオートからXCシリーズの貸与を受けた1年前からなかなか思うような走りができず、昨シーズン中に負った鞭打ちの影響もありリザルトは低迷する一方。
しかしフルモデルチェンジしTBIという素晴らしい機能を備えたクロスカントリー専用マシンでようやく納得できるリザルトが出せて本当に良かった。

今大会に向けての取り組みやレース中の意識、機材面などトピックに分け今回はレポートしてみます!

少ない乗車時間で効果的な練習
前回鈴蘭大会の翌週から「イベント運営」の仕事が繁忙期を迎え、大会10日前まで一度も練習できない状況。
溜まった疲労や暑さによるコンディショニングの難しさのある中、プライベートコースに登りの丸太セクションを作るなどし、低速域での安定したバイクコントロールの感覚を研ぎ澄ませるような練習を行った。
また、大会直前にはレッスン系の動画撮影の仕事があり、これは企画段階から内嶋の経験や感覚を元にコンテ製作されたものの撮影。
どのようにバイクを進ませるか、どのようにコントロールするのかの実践と解説をいくつも行い、実はこのアウトプットが自分自身の走り方の再確認にも繋がり、より理論的にバイクを走らせながら今大会のレースを進めることにも繋がったと分析している。

今回のレース展開
スタートを失敗したものの、1周目早々に6番手という悪くないポジションで始まった。
しかし1周目登りのFANクラスとの分岐手前の右コーナーで、下見で確認していたラインが深い轍となっていて、思い切りハマってしまう。
エンジンを止め後輪を掴んで持ち上げてもバイクが抜けず、フロントタイヤを思い切り持ち上げ、バイクをひっくり返すように倒してどうにか抜け出した時には後方スタートのAクラスの数名のライダーにもパスされてしまった。
しかしその後の下りは下見をしっかり行っていたので1周目後半で何人かパスし総合13位まで戻す。
ここからベストラインを探りながらオーバーペースにならぬよう気をつけながら走り続け、1時間半あたりで首の痛みが出てバイクを思うように走らせることのできない辛い時間帯を乗り越えながらも徐々に順位を上げ6位。
そこから一つ順位を上げ最終周はトップの矢野選手に周遅れにされるもこれを追うように走ることでペースが上がり、更に一つ上の順位を走っていた熱田選手をパス。
トップ勢のマシントラブルもあり一気に総合3位までジャンプアップしてのゴールとなった。
1周目のどハマりから5回ほど転倒を喫し、一度は大きくフロントサスが捩れるなどしたが、体へのダメージが残るようなこともなく比較的安定した走りで粘った結果と言える。

GX20と赤土の相性が抜群
今大会はFIM規定の大会ということもあり、iRC勢は揃って「GX20」を装着。
硬いゴム質の「GX20」と少し柔らかいゴム質の「GX20 SOFT」があるが、全員硬い方のGX20を選択した。
内嶋はこれに穴あけ加工したムースを組み合わせ、低速域で滑りやすくなるであろう硬い赤土部分に焦点を当てた。
またタイヤをホイールに装着する前にタイヤに跨りトップ層のほぐし、サイドケーシングを踏みつけて潰れやすい状態を作ってから装着した。
これが効いてスタート直後からゴールまでフィーリングが変わることなく、滑りやすい路面でも1周目からグイグイ進むことができた。
COMPオンリーの土手の法面のような場所は後半は多くのライダーがリヤタイヤが空転して止まっていたが、このセクションでも全く困ることなくクリアできたことはタイヤの影響も大きい。

KTM最新モデルの特徴アンチスクワットが効いた
アクセルを開けチェーンがリヤタイヤを回すとリヤサスを伸ばす力が働くアンチスクワットが現行モデルでは強めに設定されている。
この機構は登りのガレ場でシートに座っていると後輪のグリップが確保しにくく、この事は1年前に南アフリカで行われたMY24ローンチの試乗走行の際にKTMスタッフから「ここからロックの登りだ。ステップを踏め。座るな。そしてアクセルを開けていれば登るぞ!」といったことを言われたことがある。
特に背が低く体重も軽い方なのでこのアンチスクワットをガレ場で乗りこなすのは少々難しいと感じていたのだが、理論的にはスタンディングしグリップしそうな路面でアクセルオンし、滑りそうな場面で駆動を少し抜けば足の長さや体重は関係ないと今大会前から強く意識するようになった。
そして今回スタート直後にあったガレ登りは、登りはじめでスタンディングに移行し、そこからはバランスを崩したとしても片足しか出さず座らないと決め、また土の部分でしっかりステップを踏んで後輪を押し付けて進ませる。そして石を越える際には踏んだ反動で後輪を浮かせるようにして乗り越える。
これをしっかり実践し全周回全く不安なくクリアすることができ、アンチスクワットを味方につけることができた。
また、土の登りでの再発進では、シートの後ろに座っていてもアンチスクワットが効いてフロントが浮くことが少なく後輪は地面に押し付けられていることもあり、この体制からでもアクセルを開け続けることができ、するすると抜けることができた。

TBI 2速エンストするかしないかの極低速グリップ
COMPクラスにだけ設定されたコースNo.緑②のセクションは、硬く滑りやすい赤土が中に隠れる狭い登り坂。
速くても時速10kmほどでじわじわと進むような場面で、レース後半にはレールができ、その中はまさにツルツル路面。
ここで前記したGX20の性能の他にKTMの2ストロークモデルに搭載されるTBIの恩恵を受けることになった。
エンストしそうでしない粘りあるエンジンを演出するTBIのおかげで、このセクションが本当にややこしくなった後半の時間帯は2速でエンストするかしないかというほどのエンジン回転で後輪を穏やかにゆっくり回して確実にじわじわと登ることができた。
バランスを崩してストップすることはあったものの、ほとんど苦労することなく、またこのまったりと走る2速エンスト寸前の領域はコントローラブルなため疲れている時には「本当に助かるな〜」ということをレース中に感じたほど。
多少アクセルワークが雑になってもエンストせず、急に進みすぎずという感覚。

高機能なギアはクロスカントリーにおいて重要
真夏の開催で熱中症対策としてレース時間が短縮された今大会。
標高の高さから一度転倒しリカバリーすると心拍数も一気に上がるような状況では、しっかりとしたストレッチ素材かつ通気性のよいウェアーは強い味方となった。
今シーズン使用するのはLEATT5.5シリーズで、これを一度着てしまうと他の選択肢は考えられないほど着心地が良い。
また、息が上がれば体温が上りゴーグルの曇りが問題となるが、今回使用したLEATTのゴーグルのアンチフォグ性能は優秀で、どハマりからのリカバリーにおいてもゴーグルは着けたままで一切の曇りはなかった。
時間帯でロールオフとローフオフ無しを使い分けたが、ロールオフ無しの4.5シリーズは販売価格で7000円ほどで、性能と価格のバランス的にはとてもコスパが良い。
また、4.5は簡素化された作りで重量も軽く、首に不安を抱える身としてはとてもありがたい。

下りはMTBダウンヒルライダーらしく
元々スキー場を下るMTBダウンヒルのプロであったことから、今回のようなずっと下るレイアウトは得意。
ずっと下るということにより180度ターンは存在しないため、MTBダウンヒルで培ったライン読みの技術が大きく活かされた。
今回のような路面コンディションではとにかくコースの両サイドまで広く見て、よりマディが深くないマシンコントロールしやすい路面を探し、それをいかにスムースに繋ぎ合わせるかというところがMTBライダーの真骨頂とも言える。
これが活かせるコースであったことも今回好成績の要因。

レースを終えて
冒頭に書いたようにリザルトが出て本当に良かった。
しかし今回はトップ勢の離脱もあっての3位なので、これはこの日のレースを最後まで諦めなかったご褒美みたいなもの。
やはり本当の速さ実力でこの順位を当たり前に獲れるところまでいってみたい!
しかし現状の体の状態ではその取り組みに耐えられないので、今はまだ焦らず「乗りながら治す」ができるよう自分自身の状態としっかり向きあい、レース活動を続けていきます。
と言いながら次戦は過去最高順位の2位を獲得しているエコーバレー。
しかも棚ぼたなしの実力で獲った2位のコースということで、気合が入らないわけないですよね。
プライベートコースに想定カオスのセクションを作り、しっかり準備します!


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